このチーム行くんじゃないかな かつて3度(1986年度、1988年度、1994年度)の大学日本一に輝いた大東文化大学も、昨年の関東大学ラグビーリーグ戦グループは1勝6敗の7位(8チーム中)で終え、入替戦に回ることになってしまった。入替戦(vs山梨学院大学)に勝利し2部降格は免れたものの、厳しいシーズンだった。 その大東文化大学の監督に今季から就任したのが青柳勝彦(あおやぎ・かつひこ)、40歳。 在学時はFL(フランカー)として大東文化大学3度目の全国制覇に貢献、卒業後は三洋電機(現パナソニック)でも活躍し、現役引退後はストレングス&フィットネスコーチとして「常勝軍団」を影から支えた。 その青柳が今季就任し、目指す目標は大きなもの。その目標に向けた戦いへの準備、そして就任から2ヶ月たった5月中旬時点での手応えを尋ねてみた。意外と・・・就任に際し、迷いはありませんでしたか?—青柳「はい、前々から監督とはいわなくても、コーチで携わることができればいいなあと思っていたんですよね。それで今回、鏡保幸元監督(今季より特別顧問)から“おまえ監督だ”と言われて、最初は“えっ”と思ったのですが、まあコーチも監督も教えるのは一緒なので」チームの第一印象はいかがでしたか?—青柳「あのー、意外とチームがまとまってるというか、キャプテンがしっかりといましたので、結構楽に、思ったよりスムーズに行っていますね。もうちょっと最初は手こずるかなと思ったんですが、社会人より学生の方が素直というか、言ったことをちゃんとやってくれるという印象はありますね」昨年の結果についてはどうお考えですか?—青柳「去年は怪我人が多くて、なかなかベストメンバー組めなかったことが入替戦行きになってしまった大きな要因だと思います。なので、そうならないためにも今は基礎筋力としてウェイトトレーニングやフィットネストレーニングでしっかり土台を作らないといけません。そこは意識していますね」高橋主将のキャプテンシーは監督から観ていかがですか?—青柳「いいと思いますよ。もうなんか前から“アイツしかいないだろ”って感じだったらしいですね。しっかり声出して、チームをまとめてくれているので、僕からはそんなに言うことはないですね」私が観ていた試合で、高橋選手はPR(プロップ)なのに、誰よりも速く走りセービングに行くところが印象に残っています。観ていて気迫が伝わるプレーができますよね—青柳「僕もその(言われている)プレーをビデオで観ましたけど、やっぱり体張って示してくれるんで、助かりますよね」監督の信頼も厚い高橋洋丞主将攻撃的なディフェンスを実戦が始まってきて見えてきたものはありますか?—青柳「今年はいいチームになって怪我人が出なければ、そこそこ良いところ行くんじゃないかなあと思ってます。そういうものを感じますよね。4月に入ったばかりでまだまだやらなくちゃいけないことはあるんですが、今やっている練習については結果が出てきているなと思います。まだ練習でやれていないところもできてくれば、結構上の方行けると思いますね」“やれていること”具体的に言うと、どういったところですか?—青柳「去年のビデオ観てるとディフェンスが前に出れていないんです。流すような感じでやっていたので、相手にとっては自由にアタッキングできていました。それでゲインされていたので、それをなるべく前で潰して、プレッシャーかけて相手のミスを誘おうと。そういった攻撃的なディフェンスが少しずつできているかなと思います。あともう1つはスクラムですね。今年はセットプレーをしっかりやろうと、まずはスクラムと。今のところスクラムではほぼ勝ってますね」今(5月中旬時点で)“やれていないこと”具体的に言うと、どういったところですか?—「ディフェンス、特にモールディフェンスですね。今はそれでかなりトライを奪われているので。ただそこはまだ練習でやっていないことなので、そこで8人がまとまってやれるようにこれからしていきます。」今季目指すラグビーは?—「今言ったセットプレーを安定させることと、攻撃的なディフェンスですよね。それさえできていれば、点は取られないですから。点を取られさえしなければ、長谷川くんとかテビタくんとかアタックできる選手がいるので、攻撃して点を取ってというのもできますからね」(写真上から)オネセマ(1年)、テピタ(3年)、長谷川(2年)の日本航空石川高校から入学した3人が揃うFW陣は相手校の脅威となる国立に行きたいラグビー部として普段の生活から意識しておいてほしいことはありますか?—「“感謝の気持ちを常に持ってやっていこうと”ということですね。ラグビーのプレーとかも個人個人でやってしまうと、収拾がつかなくなってまとまらないので。だから寮の掃除や管理とかも全学年でやっています。1年生だけに任せるんじゃなくて“上級生が率先して見本となって”という形ですね」朝練(ウェイトトレーニング)を取り入れたそうですね—「はい、今まではそういうことが無くて、練習の時間まで寝てしまったり、ご飯も食べなかったりと悪循環があったので、そういった流れを変えてしまおうと、今やっています。あとは、ウェイトって朝しかする時間ないですからね。午後やってしまうとグラウンドの練習に時間が取れなくなりますし」今季の目標—「目標としてはやっぱり国立競技場(大学選手権ベスト4以上)とか行きたいですよね。入替戦だったチームがそこまでと言うのもおかしいのかもしれないですけど、僕が見た限りでは、このチーム行くんじゃないかなとピピッと感じています。メンツ的にも行けるメンツだと思うので、あとはしっかりとコンディションを整えて、主力に怪我人がでなければと思います」武器は前述したようにFW陣だが、BK(バックス)陣にも楽しみな存在は多いと言う。写真は今春入学のSH(スクラムハーフ)小山大輝[芦別高校/2012年度高校日本代表]文・写真:高木遊写真:山本晃子取材協力:大東文化大学ラグビー部
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